日本のおみやげを訪ねて
Part6
江戸切子(えどきりこ)@すみだ江戸切子館
2024.3.4
スカイツリーのお膝元・墨田区錦糸町の工房ショップで江戸切子の逸品を探す
江戸切子は、1830年代より江戸(東京)で生産されているガラス工芸品。東京都と国の伝統的工芸品に指定されています。手仕事による繊細なカット、江戸の粋を伝える紋様と反射する光が織りなす美しさが特徴で、江戸切子をほどこしたグラスやタンブラーは贈り物やお土産に最適です。江戸切子の逸品を探しに墨田区錦糸町にある「すみだ江戸切子館」を訪ねました。
錦糸町駅から東京スカイツリー方面へ。背後にタワーが迫るロケーションも魅力
隅田川沿いの景観や両国国技館、東京スカイツリーなどの名所で知られる墨田区。東京のものづくりが集まるエリアでもあり、区内には伝統工芸や手仕事の工房が点在します。2004年に開設した「すみだ江戸切子館」もそのひとつで、100年以上続くガラスメーカー・廣田硝子株式会社を母体に持ちます。当館は、工房とショップを併設し、江戸切子への知識を深めながら商品を選ぶことができます。すみだ江戸切子館へのルートは、JR総武線または東京メトロ半蔵門線錦糸町駅から徒歩で。駅北口を出てスカイツリー方面にまっすぐ進み、歩くこと約6分、蔵前橋通りを渡ってすぐに位置します。スカイツリーからは15分ほどの距離なので、訪問の前後にスカイツリーー見物を組み込むのもいいかもしれません。
東京東部エリアの副都心・錦糸町。駅前の商業施設やオフィスビルに向かう人で常ににぎわう。
すみだ江戸切子館の背後にはスカイツリーがそびえたち、現代の東京と江戸が重なりあうような心持ちに。
江戸風情から生み出された紋様。光に対する鋭敏な感覚が美しい切子細工の秘密
木の扉を開け、すみだ江戸切子館に入ると、さまざまな色や紋様、形の江戸切子の商品を見わたすことができます。グラスを中心に多彩な品揃えは専門店ならでは。フロアの中央に展示された江戸切子の製作工程によって、それらが、外側が薄い色ガラスで内側が透明の「色被せ(いろきせ)ガラス」に紋様を下書きし、何段階もの削り出し作業、手磨き作業を行って完成させることがわかります。
薄手のガラスに緻密な細工をほどこし、複雑な輝きを放つ江戸切子。そこには陽ざしを障子や庇でやわらげて室内に取り入れる日本人の光への感覚が活かされているそうです。そして、江戸の風物をモチーフにした粋な紋様。竹籠の網目に由来する籠目(かごめ)紋、魚卵のつらなりに由来する魚子(ななこ)紋、麻の葉紋や市松紋などには、着物の柄と共通するものもあります。
「紋様はお好みで選ぶのはもちろん、籠目紋は魔除け、丸い形の七宝(しっぽう)紋は円満など意味を持つので、メッセージ性を込めて贈るのもおすすめです」と同館セールスマネージャーの門脇弘典(かどわきひろのり)さん。江戸の「粋」と「技」、そして「心」が伝わるのが江戸切子の魅力です。
和モダンな店内には商品のほか、江戸切子の歴史を伝えるさまざまな展示も。
下書きから完成までの工程を実際のガラス器で見ることができる。
細かなカットのつらなりや華やかなカットなど代表的な紋様を展示で確認。
セールスマネージャーの門脇弘典(かどわきひろのり)さん。「伝統的な手法を守りながらオリジナルデザインや新しい素材の江戸切子もお届けしています」。
職人の仕事を見学できる。予約制の制作体験は外国人にも人気。
江戸時代末期から現在に至るまで技術が伝承されている江戸切子ですが、職人の高齢化という伝統工芸共通の悩みが。そこですみだ江戸切子館では若い職人の育成も行っており、墨田区を代表する卓越した職人に与えられる「すみだマイスター」に認定された川井更造(かわいこうぞう)さんをはじめ、6人が制作に従事。その様子は、窓越しに見学することができます。江戸切子の体験も実施しており、こちらは日本の伝統工芸に関心を持つ外国からの旅行者にも人気です。体験では下絵書きと削り出しを行い、完成後は作品を持ち帰ることができます。火曜~土曜(祝日は除く)に1日3回実施。予約制で申し込みはHPの専用サイトから。
ダイヤモンドホイールという機械を用いて模様を削り出す様子など熟練の職人による匠の技を見学できる。
体験では星のマークなどシンプルな模様にチャレンジ。一度に4人までが参加可能。大人(中学生以上)90分・4500円(グラス制作の材料費込、税別)、小学生(4年生以上)60分・2300円(文鎮制作の材料費込、税別)
レポーターMotoko’s おすすめ5選
乾杯グラス 七宝繋(しっぽうつな)ぎ紋様
円の円周を1/4ずつ重ねてつなぎ、円満の意味で使われる吉祥紋様。結婚祝いなどにペアで贈るのにぴったり。藍、赤ともに1万9800円。
オールドグラス 菊繋(きくつな)ぎ紋様
細かいカットの交差が不老長寿を意味する菊花に見えることから由来。濃い色のガラスに細かな紋様をほどこすのはとりわけ職人の腕が試されます。黒のほか藍色や赤も。2万9500円。
タンブラー 十草(とくさ)紋様
まっすぐに伸びる植物の十草がモチーフで、成長や繁栄、金運を招いてくれる縁起のいい紋様。赤もある。8800円。
金赤ほっこりオールド 魚子(ななこ)淵に八角篭目(はっかくかごめ)紋様
縁に魚子、全体に八角篭目(はっかくかごめ)をほどこしたオリジナルのホットグラス。焼酎のお湯割りなどに。2万2000円。
一口ビール 東京スカイツリー紋様「粋」青白
東京スカイツリーを紋様にしたオリジナルグラス。ツリーのライトアップカラーである青白の被せガラスを使い、ツリーの鉄骨フレームを切子で表現。墨田区で限定販売。9900円。
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このみやげのレポーター
Motoko |
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「江戸切子」って何?
江戸時代後期、江戸大伝馬町でビードロ問屋を営む加賀屋久兵衛(かがやきゅうべえ)らがヨーロッパから伝わったガラス製品に切子細工をほどこしたのがはじまり。ガラス器のほか近年では切子板として建物の内装などにも用いられています。
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写真
M.Suematsu |
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江戸切子@すみだ江戸切子館
JR総武線錦糸町駅北口から徒歩6分
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