首都圏お散歩コース
Vol.17
あの名品を訪ねて、東京国立博物館を巡る
2024.12.23
明治5 年(1872)創立の日本で最も長い歴史を持つ博物館、東京国立博物館へ。国宝や重要文化財の名品を訪ねながら5つの展示館を巡り、美術散歩を楽しもう。
スタート | JR上野駅公園口(JR山手線・京浜東北線) |
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ゴール | 東京メトロ根津駅(東京メトロ千代田線) |
歩行距離 |
約3.2km |
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歩行時間 |
約50分 |
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コースの目安時間 |
約3〜4時間 |
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コース順路
このコースのレポーター
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Motoko(ライター) |
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とにかく広い東博。展示室を巡って次の館へ、その次へ。貴重な文化財を眺めながら濃密な時間を過ごすことができました。各館を巡っているうちに次回はこの館のあの展示室を中心に攻めてみよう、という野望も。何度も体験したくなる美術散歩、ぜひ訪れてみてください。
コースガイド
東京国立博物館(東博)の展示館6館のうち、特別展やイベントで使用する表慶館以外の5館を巡ります。東博では日本と東洋の考古、美術、工芸、歴史資料などの文化財約12万件を収蔵し、これら収蔵品や寄託品で構成する「総合文化展」では約3000 件を常時展示しています。各館の展示室は定期的に展示替えを行い、いつ訪れても新しい発見があるのも特徴です。ただ、質・量ともに日本随一の博物館ゆえ1日で回り切るのは難しいもの。そこで今回は、東京国立博物館蔵で常設の名品を軸に、本館から黒田記念館まで5館を1日で巡るモデルコースとしてご紹介。あわせて気になった展示室もピックアップしました。レストランや庭園での休憩をはさみながら、時間の許す限り美術散歩に没頭しましょう。スタートの上野駅から東博へのアプローチと、東博からゴールの根津駅までのエンディングの歩きも楽しんでください。
コースマップ
このコースのおさんぽビデオ
立ち寄りスポットガイド
❶ 上野駅公園口MAP
JR山手線・京浜東北線で東京駅から8分・170円、東京メトロ銀座線で銀座駅から12分・180円。上野駅構内から公園口までは長い通路があり、やや時間がかかります。常に人が多い駅でもあるので、時間に余裕を持って出かけましょう。
上野駅公園口は上野公園に位置する美術館や動物園へのルート。
公園口周辺は平日・休日を問わず常に多くの人で賑わう。
春は桜、秋は紅葉の名所。緑豊かな公園の景観を楽しみながら歩こう。
噴水広場の先に東京国立博物館本館が見えてくる。
👟👟上野駅から東京国立博物館へ
公園口を出たら動物園方向に進み、国立西洋美術館の角を右折し、直進します。噴水広場を通りすぎ、道路を渡ると東京国立博物館の正門に到着します。
❷ 東京国立博物館 本館
MAP
縄文時代から近世まで。日本美術の粋と歴史を圧倒的な展示でたどる
「日本ギャラリー」の別名を持つ本館では、縄文時代から近世までの日本の美術、工芸、歴史資料を所蔵・公開します。正面大階段を取り巻くように1・2階の展示室が配置され、2階は時代別展示、1階は分野別展示と企画展示などからなる構成です。日本美術の変遷を知るには2階から巡るのがおすすめ。縄文・弥生文化、仏教の伝来、貴族社会、武家社会…と歴史の流れに身をゆだねながら「ほんもの」の美術史を楽しむことができます。1階では、彫刻、陶磁、刀剣などから関心のあるジャンルを選び、じっくりと鑑賞しましょう。
チケット売り場は正門手前の右側にある。
「総合文化展」のチケットで特別展以外の展示をすべて見ることができる。
入口路面には、5館への方向矢印が描かれている。本館は入口正面にある。
コンクリート建築に瓦屋根をいただく「帝冠様式」が威容を誇る本館。1937年竣工(1938年開館)、重要文化財。
入口正面にそびえる大理石の大階段。手すりの照明や壁時計などクラシックな意匠にも注目。
2階5室・6室「武士の装い―平安~江戸」
武士が用いた武器と武具、肖像画や書状などを展示。各時代の甲冑や刀剣を体系的に展示するなど多彩なテーマで700年以上続いた武家社会のエッセンスを伝える。
2階7室「書画の展開―安土桃山~江戸」
安土桃山時代(16世紀後半)から江戸時代(18世紀)にかけて多様な展開を遂げた絵画と書跡を展示。狩野派、琳派、円山派・四条派など個性あふれる画家たちの作品と豊かな文字文化を鑑賞できる。
1階12室「漆工」
日本で独自の発展をとげた漆工技法「蒔絵」を中心に、中世の調度品、南蛮文化の影響を受け、ヨーロッパに輸出された南蛮漆器、琳派の漆芸など海外でも人気の高い漆工を展示
1階18室「近代の美術」
ジャンル別展示では、近代化が始まった明治・大正の絵画や彫刻、工芸も紹介。伝統的な木彫技術と西洋の彫塑を融合させた彫刻作品などが見られる。
本館の名品1⃣ 火焰型土器
伝新潟県長岡市馬高出土 縄文時代(中期)・前3000年~前2000年/2階1室
縄文土器のなかでももっとも装飾的で、すぐれた造形力をみせる縄文中期を代表する土器。
取っ手の装飾が、燃え盛る焔のように見えることから火焔型の名が付けられた。
器から飛び出すような力強い装飾が特徴。360°の造形美を堪能しよう。
本館の名品2⃣ 国宝 興福寺鎮壇具(こうふくじちんだんぐ)
奈良市興福寺中金堂須弥壇下出土 奈良時代・8世紀/2階1室
興福寺鎮壇とは奈良時代・8世紀の興福寺中金堂創建時、工事の安全を願って地中に埋められた工芸品。仏教によって進化・発展した日本の工芸技術を知ることができる。
金銅鋺(こんどうわん)、銀匙、響銅盤(さはりばん)、金銅脚杯(こんどうきゃくはい)などいずれも国宝指定の興福寺鎮壇具を展示。
Motoko’s PICK UP
スタンプを押して絵師気分。浮世絵体験にチャレンジ 色ごとに絵柄の異なる木版を何枚も彫り、重ね刷りすることで色彩豊かな浮世絵に。体験展示を行う本館特別4室では、日本が誇る木版画をスタンプで体験できるコーナーを設置。ハガキサイズの紙に1色、2色とスタンプを重ねていき、5回目のスタンプで浮世絵を完成させます。最初は何を示すのかわからなかった断片が徐々に人の顔になるのは何とも楽しく、自然と笑顔に。できあがった版画は持ち帰り、そのままハガキとして使用できます。 |
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東京国立博物館
住所 | 東京都台東区上野公園13-9 |
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電話 | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
休業 | 月曜日(月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始 2024年12月23日(月)~2025年1月1日(水・祝) |
時間 | 9:00~17:00毎週金曜・土曜、2025年1月12日(日)、2月23日(日・祝)~20:00(入館は閉館の30分前まで)※特別展は時間が異なる |
観覧料 | 総合文化展料金 大人1000円、大学生500円 高校生以下および満18歳未満、70歳以上無料。※特別展は料金が異なる |
交通 | JR上野駅公園口、鶯谷駅南口から徒歩10分、東京メトロ上野駅、根津駅から徒歩15分 |
HP |
❸ 東洋館MAP
文化の伝播に想いをはせて。悠久の時を感じる東洋美術の旅へ
「アジアギャラリー」の別名どおり、中国、朝鮮半島をはじめ、東南アジア、西域、インド、エジプトなどの美術と工芸、考古遺物を展示する東洋館。日本にも大きな影響をもたらした仏教美術や工芸の歴史に触れることができます。なかでも中国の宋・元時代の書画や中国陶磁、中国漆工、西域美術は世界でも有数のコレクションを誇ります。館内は、展示室がつらなる本館に対し、1フロアを見わたすギャラリーを思わせる空間。1階から5階までが吹き抜けになっており、らせん状に上りながら東洋美術をめぐる旅へと向かいましょう。
東洋館は東宮御所などを手がけた谷口吉郎が設計し、1968年に開館。2013年にリニューアルオープンし、3階建てから5階建てに。
中国南北朝時代から唐時代の仏像を展示する1階を見おろす。抜き抜け空間に屹立する仏像の神々しさに息をのむ。
3階 5室「 中国の染織」
各時代で変遷するつづれ織りの技法やデザインなどを展示し、清朝時代の妃がまとった華麗な衣装に出会えることも。5室には、中国の青銅器や王侯貴族の墳墓に供えた模型や人形、陶磁も展示している。
5階10室「朝鮮の陶磁」
朝鮮半島の製陶技術を原三国時代(前108年~4世紀中頃)から19世紀朝鮮時代までの展示でたどる。日本の陶磁器にも大きな影響をもたらした青磁、粉青沙器(ふんせいさき)、白磁などの名品をさまざまなテーマで紹介。
地下1階11室「クメールの彫刻」
現在のカンボジアで9世紀初頭から600年あまり続いたアンコール王朝で完成したクメール美術。アンコールの寺院を飾った仏教、ヒンドゥー教の彫像や石造彫刻が独自の造形美を放つ。
東洋館の名品1⃣ 重要文化財 観音菩薩立像(かんのんぼさつりゅうぞう)
中国河北省 隋時代・開皇5年(585)/1階1室
中国仏教彫刻の最盛期である隋時代に三尊像のひとつとして造られた白大理石の像で、首から下げた飾りや肩にかけた細長い衣が菩薩を示す。中央に配置されていた像は大英博物館に収蔵されている。
高さ2.5mを超える巨大な菩薩像。浅く彫られた衣や装飾がこの時代の特徴。
東洋館の名品2⃣ 重要文化財 青磁輪花鉢(せいじりんかはち)
中国・官窯 南宋時代・12~13世紀/3階5室
中国南宋時代の宮中の御用品を焼いた窯の希少な作例。厚くかけられた青磁釉の色味が奥ゆかしさを感じさせる。
縦横に走る大きな貫入と、その間に入る細かな貫入が趣を表現する。
東洋館の名品3⃣ 重要美術品 冠
伝韓国慶尚南道出土 三国時代(加耶)・5世紀 小倉コレクション保存会寄贈/5階10室
朝鮮三国時代の小国「加耶」(かや)の冠。この時代の冠の特徴である正面の立ち飾りに加え、草の葉のような立飾りが大きく弧を描いている。
金の冠は立古代朝鮮の王の証。立飾りには金糸で小さな金の板をぶら下げ、光と音を放つ豪華な冠。
Motoko’s PICK UP
美術鑑賞の合間に運だめし。アジアの占いに挑戦! 2階と3階の一角に、アジアに関する豆知識を映像やアクティビティで楽しめる「オアシス」が設置されています。3階では、羊やヤギのくるぶし部分の骨「シャガイ」を選び、サイコロのように振り、出た目で運勢がわかるモンゴルの占いにチャレンジできます。結果が残念でも大丈夫。アジア各地の夢占いを試したり、ラッキーアイテムのスタンプを集めたりしてリカバリーできます。 |
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ホテルオークラレストラン ゆりの木
東洋館の庭園側、景観も楽しめるレストラン
東洋館別棟1階、御前などの和食や・洋食、中華、デザートも揃うレストラン。店内はテーブル席がゆったりと配置され、庭に面した2面の窓際席からの眺めはばつぐん。天気のいい日はテラス席もおすすめです。テイクアウト専用の「カフェ ゆりの木」を併設し、ドリンクや和洋のスイーツを取り揃えます。
東洋館の奥まった場所にある別棟の1階に位置する。
庭園の緑と風を間近に感じるテラス席。
電話 | 03-5685-5125 |
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時間 | 10:30~17:00(LO16:20)、 金曜および土曜の夜間開館日~20:00(LO19:20) |
HP |
👟👟東洋館から庭園へ
東洋館エントランスを出て右手に進み、本館脇を裏手へと回って庭園に向かいます。
❹ 庭園と茶室MAP
5棟の茶室を配した憩いの空間。歴史ある建物でティータイムも
四季折々の花や樹木で彩られる庭園には池を中心に5棟の茶室を配し、風情あるたたずまいを見せています。茶室はいずれも17~18世紀に建てられた由緒あるもので、そのひとつ「応挙館」は、名古屋市郊外の明眼院の書院として寛保2年(1742)に建てられ、品川に移築された後、東博に寄贈されています。江戸時代の絵師、円山応挙が描いた襖絵があることからその名前となった建物が「TOHAKU茶館」に。歴史を感じる和の空間でお茶をいただくひとときを楽しめます。
庭園では5代将軍徳川綱吉が法隆寺に献納した五重塔や、石碑や燈籠を見ることができる。
珍しい樹木や野草が茂る庭を眺めながら「TOHAKU茶館」へ。
👟👟庭園から平成館へ
庭園をぐるりと回り、本館の脇を通って右手に出てから平成館の正面へ。
❺ 平成館
MAP
銅鐸や埴輪にイマジネーションを飛ばして。考古資料でたどる日本の歴史
今上陛下のご成婚を記念し、平成11年(1999年)に開館した平成館。旧石器時代から江戸時代までの考古資料を展示する1階「考古展示室」を訪ねます。通史展示とテーマ展示とで構成され、壁沿いに展示室を巡りながら日本の歴史を追い、その時代の祈りの道具や暮らしの道具などのテーマ展示で理解を深める趣向です。教科書に登場する土偶や銅鐸、埴輪などを間近に見られるとあって、親子連れにも人気の平成館。暮らしの祈りや祭祀の原型など原初的な力強さが伝わる展示にイマジネーションが刺激されること間違いなし。
本館と同様、エントランスを入ると大階段を中心とした左右対称の構造に。2階は特別展専用の展示室になっている。
広いフロアにさまざまな考古資料を展示。周囲の展示ケース、フロア中央で展開する埴輪、どこから見ても楽しめる。
通史展示 政治的社会の成熟―宝器の創出
青銅製の鏡など古墳時代の政治的・祭祀的権威を表す宝器を展示。中国の世界観を反映した図などさまざまな紋様が興味深い。
6世紀に伝来した仏教との関わりから律令国家のはじまりを概観するコーナー。仏教とともに伝わり、都や各国の寺院の屋根を飾った瓦の紋様が壮観。
平成館の名品1⃣ 重要文化財 埴輪 盛装女子
群馬県伊勢崎市豊城町横塚出土 古墳時代・6世紀/テーマ展示
人物埴輪で数が少ない全身像でも特にめずらしい女子の像。耳飾りや首飾り、腕飾りなどをつけ、華やかに着飾った正装から高位の女性と考えられている。
高さ126.5cmの女子像はどこか親しみを感じさせる。
島田髷を結い、大きな耳飾りをつけた頭部にも注目。
平成館の名品2⃣ 国宝 扁平鈕式銅鐸
伝香川県出土 弥生時代(中期)・前2~前1世紀/テーマ展示
銅鐸は、農耕祭祀と深いかかわりを持つと考えられる青銅の鐘。内側に棒を吊るし、全体を揺らして音を鳴らしたという。銅鐸で初の国宝に認定されたのが本作。
表面には道具を持つ人や虫、魚、動物などが描かれ、当時の暮らしを今に伝える。
レプリカの銅鐸を揺らして音をたしかめることができる。
平成館の名品3⃣ 国宝 銀象嵌銘大刀(ぎんぞうがんめいたち)
熊本県和水町 江田船山古墳出土 古墳時代・5~6世紀/テーマ展示
銀の象嵌(ぞうがん)で記された銘文と動物の文様をもつ鉄製の大刀。75文字からなる銘文は本格的に記録された文章としては日本列島で最古の例で、当時の政治・社会や世界観を伝える貴重な文字資料。
大刀の側面に鳥、魚、馬の文様、みね部分に銘文が刻まれている。
銘文は5世紀後半の王権と地方豪族の関係を示すと考えられている。
👟平成館から法隆寺宝物館
資料館と表慶館の間の道を通り、正門方向へ。右手に法隆寺宝物館が見えてきます。
❻ 法隆寺宝物館
MAP
モダンな空間で鑑賞する古代の宝物。最新技術による「デジタル法隆寺」体験も
奈良・法隆寺から皇室に献納され、その後国に移管された宝物を収蔵・展示。飛鳥・奈良時代の300件あまりの宝物は正倉院宝物と双璧をなす古代美術のコレクションで、8世紀の作品が中心の正倉院よりさらに古い7世紀の宝物が多く含まれることが特色。その多くが重要文化財や国宝に指定されています。かつては保存を主目的に週に一度の公開でしたが、1999年に展示公開を目的とする現在の宝物館がオープン。モダンな建物と古代美術との取り合わせも魅力です。2023年にはデジタルコンテンツで法隆寺金堂壁画などを鑑賞できるコーナーを開設し、文化財との新たな出会いも提供します。
ガラスや格子、石壁を用いたモダンな建物は美術館建築を多く手がける谷口吉生氏の設計。石貼りの通路と水盤で構成されたアプローチを進み、宝物館へ。
2階通路の縦格子からの眺め。鑑賞の合間に緑と水、光の空間が楽しめる。
1階2室 「金銅仏、光背、押出仏」
銅製の仏像にメッキをほどこした6~8世紀までの金銅仏、同時代の光背、銅板の押出仏を展示。照明を落とした部屋の中、ガラスケースに納められた菩薩や如来が浮かび上がる趣向。
2階5室「金工」
海磯鏡など法隆寺献納宝物を代表する作品が集まる「金工」。仏前の供養具や法具に用いられた水瓶が並ぶコーナーでは、首が長く、丸々としたボディが共通しながらそれぞれに個性ある形状を見ることができる。
2階5室「金工」
宝物館には聖徳太子が用いたとされるものが遺されており、銅板に金メッキした金銅製の文房具(墨台・水滴・匙)もそのひとつ。猫足のような脚部や匙の曲線などに金工の高い技術が感じとれる。
中2階 デジタル法隆寺宝物館
火災で焼損した「法隆寺金堂壁画」や公開が難しい国宝「聖徳太子絵伝」をデジタルコンテンツで体験できるコーナー。大型8Kモニターで絵の詳細までを自在に鑑賞できるほか、臨場感あふれるグラフィックパネル(複製)を展示する。
法隆寺宝物館の名品1⃣ 国宝 灌頂幡(こんどうかんじょうばん)
飛鳥時代・7世紀/1階1室
「幡」は仏教の儀式で用いる旗で、灌頂幡は上部に天蓋(てんがい)という傘を備え、大幡や小幡などを組み合わせた豪華なもの。聖徳太子の娘と考えられる「片岡御祖命」(かたおかのみおやのみこと)によって納められた記録がある。
それぞれのパーツに分解して展示。階段室の高い天井から吊るされた精巧な模造品で、制作当時の姿を見ることができる。
法隆寺宝物館の名品2⃣ 国宝 竜首水瓶(りゅうしゅすいびょう)
飛鳥時代・7世紀/2階5室
法隆寺に伝わった日本製と考えられる水差し。首が長く、下にふくらむ胴に取っ手をつけた形はササン朝ペルシャに源流が。中国の龍、ペルシャの天馬という東西の伝統的なモチーフを用いている。
注ぎ口は竜頭、取っ手が竜身を模している。胴の部分には金の天馬を刻む。
取っ手を握り、竜のツノに手をかけるとふたが開く仕組み。
法隆寺宝物館の名品3⃣ 国宝 海磯鏡(かいききょう)
奈良時代・8世紀/2階5室
光明皇后が、天平8年(736)2月22日の聖徳太子の忌日に法隆寺に奉納した、白銅で鋳造した大型鏡。径がわずかに異なり、紋様が酷似する2面を収蔵する。
周辺に波、四方に山岳を配し、岩にすわる人や獅子、鹿など中国風の紋様が見える。
👟法隆寺宝物館から黒田記念館へ
正門を出て右手に進み、黒門を通り過ぎて道路を渡ると右手に黒田記念館が見えてきます。
❼ 黒田記念館MAP
日本近代洋画の父・黒田清輝の油彩画約130点、デッサン約170点、写生帖などを所蔵、展示する記念館です。黒田の画業の初期から晩年までを一覧できる展示構成で、アトリエを再現したコーナーも。昭和初期に建てられた記念館は美術館建築としても評価が高く、イオニア式列柱とスクラッチタイルの外観、天窓から光が差し込む展示室、アールヌーヴォー風の装飾が施された階段など見どころがたくさん。特別室では黒田清輝の代表作「読書」「舞妓」「湖畔」「智・感・情」を年3回(新年、春、秋に各2週間)公開します。
1928(昭和3)年に竣工。旧歌舞伎座や明治生命館などを手がけた岡田信一郎による貴重な美術館建築で、国の登録有形文化財。
習作や下絵などさまざまな展示で黒田の作風に触れることができる。
展示室の一角には黒田が使用したイーゼルや絵具箱などを展示。
黒田記念館特別室で名品鑑賞
以下の名品4点は特別室にて年3回(新年、春、秋に各2週間)のみ公開します。今後の日程は2025年1月2日(木)~1月13日(月)、3月25日(火~4月6日(日)が決まっています。
年3回、一般公開される特別室。
黒田記念館の名品1⃣読書 黒田清輝筆 明治24年(1891)
1890年から91年にかけてパリ近郊の農村で少女をモデルに制作し、サロンに出品。黒田にとって初めてのサロン入選作。
黒田記念館の名品2⃣ 重要文化財 舞妓 黒田清輝筆 明治26年(1893)
9年間にわたるフランス留学から帰国直後、京都を旅したときに描いた作品。明るく光にあふれた作品は当時の日本人に衝撃を与えた。
黒田記念館の名品3⃣ 重要文化財 湖畔 黒田清輝筆 明治30年(1897)
箱根芦ノ湖畔で描かれた作品。浴衣の色柄、女性の静かな表情が湖水と重なるかのよう。切手の図案にもなり、黒田の作品でも特に知名度が高い。
黒田記念館の名品4⃣ 重要文化財 智・感・情のうち智 黒田清輝筆 明治32年(1899)
異なったポーズをとる裸婦像3点からなり、当時画壇で「画家の三派」とされていた理想主義(智)、印象主義(感)、写実主義 (情)を象徴化したとされる。1900年のパリ万博に『裸婦習作』のタイトルで出品し、銀賞を受賞。
名品1⃣ フランス滞在中に手がけた初期を代表する作品。読書する女性は当時好んで描かれたモチーフ。出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
名品2⃣ 帰国後の黒田は古都の町並みと舞妓の可憐さに感じ入り、本作を手がけたという。出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
名品3⃣ 水辺での憩いという主題は、当時のフランス人画家に好まれていたそう。出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
名品4⃣ 日本人女性をモデルに制作された最初の油彩裸婦画としても名高い。出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp/)
黒田記念館
住所 | 東京都台東区上野公園13-9 |
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電話 | 050-5541-8600 |
休業 | 月曜日(月曜日が祝日または休日の場合は開館し、翌平日に休館)、年末年始 |
時間 | 9時30分~17時00分(入館は閉館の30分前まで) |
観覧料 | 無料 |
交通 | JR上野駅公園口、JR鶯谷駅南口、東京メトロ上野駅、根津駅から徒歩15分 |
HP |
上島珈琲店 黒田記念館店
テラス席や和モダンな空間で憩いのひととき
黒田記念館に寄り添うようにある別館のカフェ。テラス席がある1階のほか、2階は和を取り入れた落ち着きのある空間で、記念館の雰囲気に通じるものが。美術散歩を振り返りながらネルドリップで抽出したこだわりのコーヒーやスイーツをゆっくり楽しみましょう。
黒田記念館の別館に位置。1階にはカウンタ―とテラス席がある。
天井側の欄干など和の意匠を取り入れた2階席。
上島珈琲店 黒田記念館店
電話 | 03-5815-0411 |
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時間 | 7:00~19;00、不定休 |
HP |
👟黒田記念館から根津駅へ
東博を背に道を進み、東京藝大のキャンパスや施設を左右に見ながら、住宅街の道を何度も曲がりながら、不忍通りに出て、通りを渡ると根津駅の入口が見えてきます。
右側に東京藝大上野キャンパス、左側に藝大美術館がある。
住宅や高校があるエリア。坂道や細い道をたどりながら不忍通りへ。
❽ 根津駅 GOAL!MAP
東京メトロ根津駅から銀座まで14分・180円、新宿まで25分・380円。
東京国立博物館 特別展情報
東京国立博物館 新春特別展1
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「博物館に初もうで」 2025年1月2日(木) ~ 2025年1月26日(日) |
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22年目となるお正月の恒例企画。巳年にふさわしくヘビにまつわる作品をご紹介する特集や、お正月らしい名品の数々を展示。1月2日(木)~13日(月・祝) には、国宝 松林図屛風も展示される。
東京国立博物館 新春特別展2
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開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」 2025年1月21日(火) ~ 2025年3月16日(日) |
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京都嵯峨にある大覚寺は、2026年に開創1150年を迎える。それに先立ち、狩野山楽(1559~1635)の代表作として重要文化財に指定されている襖絵・障子絵などの障壁画120面以上をはじめ、優れた寺宝の数々を公開する。