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Interview / クローズアップ東京人

Vol.3

チームラボ(teamLab)

工藤 岳(たかし)さん

取材日2024.3.22

インターネット以降は、誰もがSNSで世界に作品を送れる時代です。

── 2024年も、世界や日本の各地でチームラボのミュージアム開設や展覧会の開催が予定され、チームラボのデジタルアートが世界中で受け入れられています。チームラボは、スタート時から全世界での展開を目指していたのでしょうか。

工藤:  2001年に代表の猪子寿之が創業したときから、チームラボは世界を目指してきました。僕は現在47歳ですが、大学生のときにインターネットが出てきました。インターネット以前は、何かを表現することは、政治家、メディア、アーティストなどの特定の人だけの特権のようなものでした。それが、インターネットの出現によって、誰もが表現できるようになったわけです。僕ら世代や僕らの下の世代は、多分、これを体感的に理解していると思います。たとえば、YouTube、X、インターネットなどのソーシャルメディアィアへ投稿した瞬間に、鍵をかけてない限りは、世界のだれでもがその投稿を見れる状態になる。いきなり世界とつながることができるというのが、インターネットの本質的な部分です。

テレビは、放映されるのが日本国内ならば、国外では見れません。しかしインターネットでは、ソーシャルメディアにあげた投稿が、とんでもなく面白い動画や画像や記事であれば、すぐさま世界中の人に届きます。ですから、現代では、多くの人が、何かを発信するときには世界の人に届けることを視野に入れているのではないでしょうか。チームラボも、当初から、デジタルによる新たなアートを発信して、世界の価値観を変え、人類を前に進めたいと考えてきました。

《人々のための岩に憑依する滝》前で、作品の説明をする工藤さん。

── 世界各国で、チームラボの常設展やアート展の開催が続いていますが、これは各国から直接依頼があるのでしょうか。

工藤: はい、そうです。チームラボには営業部門がありませんので、2001年の創業時から、口コミだけで広がっていきました。口コミといえど、それはすごい勢いでした。チームラボのアートを知った海外の関係者が、自分の国でも展示をしたいがどうしたらよいかと、直接問い合わせをしてきます。これまで一度も売り込んだことはなく、全部先方から依頼がきて話が始まり、世界各国で常設展やアート展が実現してきました。

── 日本と海外では、作品の出し方や展示法に違いはありますか。

工藤: チームラボは最初からグローバルの舞台での活動しか考えていないので、日本の展示だからといって日本用に作ることもしないですし、それぞれの国に合わせて作品展示を考えるということもありません。どの国でも、自分たちが美しいと思うアートを提供するだけです。鑑賞者に合わせたり妥協したりすることはしません。それがアートなのだと思います。チームラボは、今後も方向性も変えることがなく、自分たちが作りたいものを作り続けていきます。

工藤さんからのメッセージビデオ

工藤さんの東京さんぽ

東京生まれアブダビ育ちの工藤さんは、スウェーデンに住んでいたことも。外国暮らしの間に帰国した時も住まいは東京でした。2010年に帰国しチームラボに加わってからもやはり住んだのは東京。今は世田谷区の松原に住んでるそうです。「東京は自分の街だと思っています」と言いつつも「東京には、時々むかつく」とも。それは「高速道路が混みすぎのとき」「タクシー料金が高いこと」などなど。それでも「東京にはチームラボがあって、家族がいて、友達がいる」。工藤さんにとって東京は「好きではないけれど、一番居心地がいい街」なのだそう。東京のおすすめスポットは、何といってもチームラボの2つのミュージアム、そして銭湯と高速道路というセレクトになりました。

森ビル デジタルアート:エプソン チームラボボーダレス(teamLab Borderless: MORI Builiding DIGITAL ART MUSEUM)MAP

2018年お台場に登場し、2022年、お台場の再開発で惜しまれつつ終了。2024年2月、麻布台ヒルズに再オープン。まさにチームラボのランドマークミュージアム。「僕らにとってもここは特別な場所。ぜひ来て体感してください」。

チームラボボーダレス《人々のための岩に憑依する滝》

チームラボプラネッツTOKYO DMM(teamLab Planets)MAP

「作品の中に身体的に他者と一緒に没入していきます。作品から作品に、惑星から惑星に移動している感じです。地球との境界線を作って暮らす現代人が、ここでの強い体験を通して、世界を身体的に認識できればよいですね」

チームラボプラネッツ《人と共に踊る鯉によって描かれる水面のドローイング(Drawing on the Water Surface Created by the Dance of Koi and People - Infinity)》©teamLab

東京の銭湯

東京の好きな場所は?という質問に、間髪いれず「銭湯」という返答。「4歳と9歳の二人の息子を連れて、自転車で近所の銭湯に行くのが一番好きな時間」だそう。日本の公衆浴場「銭湯」は、都内にまだ約600軒が健在です

2024年4月に「ハラカド」地下1階にできた「小杉湯」は、現代版銭湯。

首都高速道路

「首都高速は環状線なので東京をグルリと回れます。僕は免許を持ちませんが、妻や友人の運転で首都高速を1周すると、東京のいろいろな顔が見えてきて面白いです。海外の人もぜひ首都高速道路を体験してほしいと思います」。

神田川沿いを走る首都高速。

チームラボ施設の動画はこちらから!

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インタビューと文

Wakako

プロフィールへ

大学で哲学の勉強をされた工藤さんは、少々難解なチームラボのアート哲学を、私にもわかるように、時には頭を抱えながら丁寧に説明してくれました。「三つ編みは、奥さんに編んでもらうの」「4歳と9歳の息子を連れてキャンプに行くのが楽しいね」と、ご家族の話をするときは満面の笑顔。やさしいパパの顔になりました。

写真&動画撮影

M.Suematsu

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