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首都圏お散歩コース

Vol.10

横浜・山手/神奈川

s10_00_01_img_7758.jpg 山手イタリア山庭園と外交官の家。 s10_00_02_img_7496.jpg 港の見える丘公園の展望台の階段やベンチでひと休み。 s10_00_03_img_7653.jpg 四つ葉状文様の小窓があるべーリックホールの子供部屋。 s10_00_04_img_7784.jpg 光があふれるブラフ18番館のダイニングルーム。 s10_00_05_img_6133.jpg 山手西洋館めぐりのメインストリート、山手本通り。 s10_00_06_img_7614.jpg 山手本通り沿いにある自動電話(公衆電話ボックス)。 s10_00_07_img_e6154.jpg 山手のランドマーク「カトリック山手教会」。

2024/3/10 - 横浜開港とともに外国人居留地が開かれた山手エリアで、当時の暮らしを伝える西洋の館をめぐるエキゾチックな散歩。

スタート

元町・中華街駅 出口5(みなとみらい線)

ゴール

石川町駅元町口(JR根岸線)

歩行距離

約3km

歩行時間

約40分

コースの目安時間

4時間~5時間

コース順路

  • フォトスポット
  • 歴史がわかるスポット

このコースのレポーター

Sasamo (ライター)

プロフィールへ

洋館と聞くと瀟洒な外観に注目しがちですが、ぜひ建物の中もゆっくり見学してみて。各館の由緒はもちろん、当時の暮らしを伝える展示は見どころ満載でタイムトリップ感があります。

コースガイド

外国人居留地として発展した山手地区には、開港当時の面影を感じさせる洋館が今も数多く点在しています。今回はみなとみらい線元町・中華街駅からスタートして、「横浜山手西洋館」と名づけられた7つの洋館を中心にめぐる人気のコースをおさんぽ。最初のスポットは港の見える丘公園。園内には西洋館のほかに見どころが多く、バラの名所としても人気です。また、西洋館はいずれも徒歩で移動できる距離。散策のメインストリートになる山手本通り沿いには荘厳な教会や可愛らしい洋館もあり、異国情緒たっぷり。写真映えするスポットも数知れません。散歩の締めくくりは、山手の丘に広がる山手イタリア山庭園へ。見事な西洋館と花壇の競演と、見晴らしのいい絶景が迎えてくれます。ここから急な大丸谷坂(おおまるだにざか)を下るとゴールのJR石川町駅元町口に到着します。

コースマップ

このコースのおさんぽビデオ

立ち寄りスポットガイド

❶ 元町・中華街駅出口5 START!MAP

JR東海道本線・東京駅から横浜駅まで25分490円。横浜駅からみなとみらい線に乗り換えて元町・中華街駅まで8分230円。東急東横線・渋谷駅から元町・中華街駅まで37分540円。
駅の名称の通り、二つの主要な観光エリア、元町と中華街の玄関口。出口を間違えると目的地まで遠回りになることもあるので注意。

ホーム内の案内板で出口を確認すると安心。

5番出口を出ると右手にフランス橋が見えてくる。

❷ 港の見える丘公園MAP

横浜を代表する観光スポット

横浜港を見下ろす小高い丘にある公園。開港当時は丘の上にイギリス軍、下にフランス軍が駐屯していた外国人居留地でした。展望台からは横浜ベイブリッジ、みなとみらいの風景を一望でき、敷地内には大佛次郎記念館や神奈川県立近代文学館、西洋館なども点在。バラの名所としても名高く、ベンチで腰を下ろしてのんびりと過ごせるスポットです。

横浜ベイブリッジを望む絶好のロケーション。

弧を描く長いパーゴラが印象的。

ここはスタジオジブリ作品「コクリコ坂から」の舞台。映画に出てくる国際信号旗が掲げられている。

港の見える丘公園

住所

神奈川県横浜市中区山手町114

電話

045-671-3648(横浜市都心部公園担当)

時間

24時間(フランス山地区は夜間閉門あり)

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩5分

旧フランス領事官邸遺構

フランス山地区に残る遺構

かつてフランス軍が駐屯したフランス山地区には、煉瓦造りの外壁だけが残る領事官邸跡地や煉瓦井戸の遺構があります。赤い羽根が印象的な風車は、駐屯時代に使われていた水揚げ用の風車をもとにモニュメントとして再現したもの。

ツタに覆われた領事官邸跡地。

風車の向こうにマリンタワーが見える。

ローズガーデン

四季を通じてバラや草花を鑑賞できる

「市の花・バラ」の制定記念に公開されたバラ園が前身。現在は英国風の「イングリッシュローズの庭」、香りのよい品種を植栽した「沈床花壇」、水の演出を取り込んだ「バラとカスケードの庭」で構成。バラの見頃は春と秋の2回ですが、最盛期をはずしても四季を通してロマンチックな風景に出会えます。

マスコットキャラクター「ガーデンベア」がお出迎え。

噴水や西洋館を背景にさまざまな草花が楽しめる。

大佛次郎記念館MAP

横浜ゆかりの文豪の資料を展示

横浜に生まれ、横浜を数多く描いた作家・大佛次郎(おさらぎじろう)の業績と生涯をさまざまな資料で紹介。愛猫家としても知られ、自身が所蔵していた猫の置物も多数展示。猫の写真を一般公募し、人気投票を行う「大佛次郎×ねこ写真展」は毎年好評の企画展です。(2024年4月14日まで開催中)

アーチ型の屋根と赤レンガ色の外観。

居室を再現した部屋にも猫がたくさん。

大佛次郎記念館

住所

神奈川県横浜市中区山手町113

電話

045-622-5002

休業

毎週月曜日(月曜祝休日の場合は、翌平日)、年末年始、展示替え期間、特別資料整理期間等

時間

4~9月 10:00~17:30(入館は17:00まで)
10~3月 10:00~17:00(入館は16:30まで)

料金

一般 (高校生以上)200円/中学生以下無料

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩8分

HP

https://osaragijiro-museum.jp

❸ 横浜外国人墓地MAP

募金に協力すれば敷地内の見学も

横浜開港当時の発展に貢献した著名人をはじめ、約40カ国、5,000人もの魂が眠る墓地。墓地内は非公開ですが、毎年2~7月、9〜12月の毎週土・日曜、祝日(12:00〜16:00)は維持や保存を呼びかける募金活動が行われ、返礼として10分程度で一巡できる順路を見学することができます。※雨天を除く。

埋葬者の業績を展示・紹介する資料館は入場無料。

敷地の外からも外国人墓地の雰囲気がわかる。

横浜外国人墓地・資料館

住所

神奈川県横浜市中区山手町96

電話

045-622-1311

休業

月・火曜日

時間

9:00~17:00

料金

無料 (募金公開時を除く)

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩約3分

HP

http://www.yfgc-japan.com

❹ 山手西洋館めぐり
MAP

外国人居留地の面影が残る西洋館が点在

外国人居留地として栄えた山手には、教会や学校も多く、今も当時の暮らしを伝える西洋館が点在しています。現在、横浜市が保存し、一般公開している7つの西洋館は港の見える丘公園、元町公園、山手イタリア山庭園に建ち、いずれも入館無料で見学可能。周辺にはカフェとして利用されている洋館もあり、異国情緒漂う散策が楽しめます。

緑豊かな公園の中にある西洋館。

丸窓が印象的な横浜市イギリス館。

横浜山手西洋館公式サイト

HP

https://www.hama-midorinokyokai.or.jp/yamate-seiyoukan/

山手111番館MAP

スパニッシュスタイルの洋館

横浜を中心に数多くの作品を残したJ.H.モーガンによる設計。1926年にアメリカ人J.E.ラフィン邸として竣工。裏手にはローズガーデンを見下ろす「カフェ・ザ・ローズ」を併設。晴天時にはガーデン席目当ての人も多く、オリジナルローズティやローズソフトクリームなどが味わえます。

赤い瓦屋根と白い壁のコントラストが印象的。

柱のない回廊と吹き抜けの優雅なホール。

山手111番館

住所

神奈川県横浜市横浜市中区山手町111

電話

045-623-2957

休業

第2水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩8分

横浜市イギリス館MAP

大英帝国の威厳を伝える白亜の建物

1937年に建てられた英国総領事公邸。広い敷地と建物の規模などから、東アジアにある領事公邸の中でも上位に格付けされていました。玄関脇には王冠入りの銘版がはめ込まれ、大英帝国の風格がうかがえます。建物の玄関側と庭園側から見た印象が異なるのも特徴的です。

英国人技師によるコロニアルスタイルの洋館。

船窓をモチーフにしたアール・デコ風の丸窓。

横浜市イギリス館

住所

神奈川県横浜市中区山手町115-3

電話

045-623-7812

休業

第4水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩6分

山手234番館MAP

山手では珍しい外国人向けアパートメント

個人住宅が多い山手の洋館ですが、ここは3LDKの住居を4世帯擁するアパートメントでした。1927年頃に外国人向けに造られ、各戸には暖炉や使用人部屋なども。貴重な蓄音機もあり、毎月第2土曜日には蓄音機コンサートが開催されます。

設計は朝香吉蔵。西洋館では珍しい日本の建築家。

当時の居間の様子を再現している。

山手234番館

住所

神奈川県横浜市中区山手町234-1

電話

045-625-9393

休業

第4水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩7分

エリスマン邸MAP

A・レーモンドが手がけた初期の作品

日本の建築界に多大な業績を残した建築家A・レーモンドによる設計。生糸貿易商社の支配人エリスマン氏の私邸として建てられ、1990年、現在地に移築復元。機能美を追求したシンプルモダンなデザインなど、レーモンドの師であるF.L.ライト譲りの意匠が随所に見られます。

木々に囲まれたシンプルモダンな洋館。

レーモンドがデザインした家具も復元展示。

エリスマン邸

住所

神奈川県横浜市中区元町1-77-4

電話

045-211-1101

休業

第2水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩8分

べーリック・ホールMAP

建築学的価値のある絢爛豪華な洋館

山手111番館や山手聖公会などを手がけたJ.H.モーガンによる設計。約600坪の敷地に建ち、戦前の現存する山手外国人住宅では最大規模の洋館です。スパニッシュスタイルを基調とした外観のみならず、内部にも多彩な装飾が施され、見る人を飽きさせません。たっぷり時間をかけて見学したい邸宅です。

ソテツやシュロを植えた広い庭に面して建つ。

広さ約48畳、天井高は約4m。壮大な1階リビングルーム。

かつての主人寝室は書斎として設けられた。

クワットレフォイル(四つ葉状の文様)の小窓。

べーリック・ホール

住所

神奈川県横浜市中区山手町72

電話

045-663-5685

休業

第2水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩8分

❺ カトリック山手教会MAP

1933年築の横浜山手のランドマーク

山手本通りでひときわ目を引くゴシック様式の外観。1862年、現在の横浜中華街の一角に建てられた横浜天主堂が「カトリック山手教会」の前身。のちに山手に移転し、現在の聖堂は1933年にチェコ出身の建築家ヤン・ヨセフ・スワガーの設計により再建された3代目。

鐘楼を持つゴシック様式の荘厳な佇まい。

一歩足を踏み入れると厳かな雰囲気に包まれる。

聖堂の中ではマナーを守り、静かに見学を。

聖母子像、プラハ城やカレル橋が描かれている。

カトリック山手教会

住所

神奈川県横浜市中区山手町44

電話

045-641-0735

時間

10:00〜16:30

交通

みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩15分、JR根岸線石川町駅から徒歩10分

HP

https://catholicyamate.org/

❻ 山手公園
MAP

国の名勝に指定された日本初の洋式公園

1870年に横浜居留外国人たちによって造られた国内初の洋式公園。テニスコートを擁し、日本で初めてテニスが行われたテニス発祥の地であり、園内にはテニスの歴史を伝える記念館も。また、公園周辺の景観に欠かせないヒマラヤスギが日本で初めて植林されたのもここです。桜の名所としても知られ、2004年には国指定の名勝に。

テニスコートの前にある国指定名勝の記念碑。

日本初の軍楽隊が演奏した芝生広場のあずまや。

横浜山手テニス発祥記念館
MAP

貴重なテニスの歴史や資料を展示

日本におけるテニスの歴史を知ることができる記念館。100年前のラケットをはじめ、当時のテニスウェアや貴重な道具が展示され、実際にラケットを手にすることもできます。1880年頃に日本人絵師による浮世絵をもとにしたステンドグラスも見どころのひとつです。

ヒマラヤスギに囲まれて建つ記念館。

スカート吊り上げ器を衣装につけてプレーする女性。

横浜山手テニス発祥記念館

住所

神奈川県横浜市中区山手町230

電話

045-681-8646(横浜山手テニス発祥記念館)

休業

第3月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始

時間

9:30~17:00

交通

JR根岸線石川町駅から徒歩15分 、みなとみらい線元町・中華街駅から徒歩15分 

旧山手68番館MAP

バンガロースタイルの洋館

1933年、外国人向けの貸家のひとつとして建てられ、1986年に山手公園に移築されました。テニスコートが隣接し、現在はレストハウス兼山手公園管理センターとして利用されています。

平屋建てのコロニアル風バンガロースタイル。

Sasamo’s PICK UP

募金で西洋館を応援しよう!
山手西洋館は入館無料ですが、各館に募金箱が設置されているのをご存知ですか? 募金は館の維持管理に使われるとのこと。館によって異なりますが、募金のお礼にパンフレットや栞などが用意されています。「横浜山手テニス発祥記念館」でいただいたコサージュのようなシダーローズは山手公園内のヒマラヤスギの松ぼっくりの先端部分(数に限りがあります)。洋館の維持や保存に協力して、素敵な返礼品がいただけるのはうれしいですね。

❼ 山手イタリア山庭園
MAP

高台の洋館と開放的な眺望が魅力

横浜市街が一望できる崖(bluff)の上に広がる庭園。敷地内には二つの洋館が建ちます。「イタリア山」という名は、かつてイタリア領事館があったことに由来します。幾何学的に配した整形花壇はイタリアで多くみられる庭園様式で、四季折々の花や植栽は訪れる人を楽しませてくれます。晴れた日には富士山が見えることも。

花壇の向こうに横浜の街を一望できる。

どこを切り取ってもフォトジェニックな風景。

外交官の家MAP

国の重要文化財指定の西洋館

外交官内田定槌氏の邸宅として1910年に東京・渋谷区南平台に建てられ、1997年、この地に移築復原。アメリカン・ヴィクトリアン様式が色濃く残る館内には、来客をもてなす工夫があちこちに見受けられます。設計は、立教学校の教師として来日し、のちに建築家として活躍したアメリカン人J.M.ガーディナーによるもの。

とんがり屋根の塔屋が特徴的な木造2階建て。

ドラマ化されたコミック「のだめカンタービレ」にも登場した八角部屋。

外交官の家

住所

神奈川県横浜市中区山手町16

電話

045-662-8819

休業

第4水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

JR根岸線石川町駅から徒歩5分

ブラフ18番館MAP

大正末期に建てられた外国人住宅

オレンジ色のフランス瓦屋根とペパーミントグリーンの窓枠が白壁に映える洋館。洋風住宅の意匠を随所に備えた館内には、かつて山手で多く用いられていた横浜家具を修復展示。サロンに鎮座する100年前のピアノの音色が聴けるコンサートも定期的に開催しています。

戦後は司祭館として使用され、1993年に移築復元。

光がさんさんと降り注ぐサンルーム。

ブラフ18番館

住所

神奈川県横浜市中区山手町16

電話

045-662-6318

休業

第2水曜日(休日の場合は翌日)・年末年始(12月29日~1月3日)

時間

9:30~17:00

交通

JR根岸線石川町駅から徒歩5分

❽ JR石川町駅元町口(南口) GOAL!MAP

JR根岸線・京浜東北線で横浜駅まで7分170円。横浜駅からJR東海道本線に乗り換えて東京駅まで25分490円。
JR石川町駅元町口(南口)には改札が2ヶ所あり、どちらを利用してもOK。

大丸谷坂を下りきって左手に駅の案内が見える。

山手イタリア庭園側の改札口。

立ち寄りショップガイド

Tea Room霧笛MAP

大佛次郎記念館に併設するカフェ。猫の絵画や置物が飾られた店内で、大佛夫人オリジナルレシピの「霧笛オリジナルチーズケーキ」が味わえる。ティールームだけの利用も可能。

ウチキパンMAP

1888年創業。レトロな雰囲気の店内には看板商品の山型食パン「イングラド」を筆頭に、食事系、甘いパンなど常時70種前後のパンが並ぶ。ローカルからパン好き、観光客も訪れる人気店。焼き上がり時間はHPでチェックできる。