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日本のおみやげを訪ねて

Part8

日本のお香@香十銀座本店(KOJU)

2024.4.22

和の美意識で暮らしを彩る香りを探しに、銀座の専門店を訪ねる

日本における「お香」の始まりは約1500年前。仏教とともに伝来し、祈りの香りから宮廷文化の香りへ、繊細に鑑賞する香りへと発展しました。日本人の感性と響き合い、深く長い歴史を持つお香は世界からも注目されています。お香の魅力と楽しみ方を探しに、創業449年の伝統を今に受け継ぐお線香・お香の専門店「香十(KOJU)」の銀座本店を訪ねました。

銀座のメインストリートから徒歩5分。和モダンな外観が目印

老舗店やラクジュアリーブランドが軒を並べ、東京で最も格式のある繁華街・銀座。東京メトロ銀座駅を出て地上に上り、銀座4丁目交差点から中央通り沿いに北へ歩きます。銀座3丁目交差点から松屋通りを右に入り歩くこと約2分、右側に見えてくるビルの地下1階が「香十銀座本店(KOJU)」です。

松屋銀座の前を東西に走る松屋通り沿い。東銀座駅からも近い。

木とガラスが和モダンな外観。右奥の入口から階段を下りて店内へ。

天正年間の京都で誕生した名跡。伝統の香りと風格を今に伝える

「香十(KOJU)」の始まりは16世紀後半、天正年間の京都。初代はお香の原料を選択し調合する「香司」として御所御用(ごしょごよう)を務め、二代は太閤豊臣秀吉(たいこうとよとみひでよし)、四代は徳川家康(とくがわいえやす)に召された由緒ある名跡です。江戸時代には第八代十右衛門(じゅえもん)が多くの銘香をつくり、茶道界を中心に香十の名声が高まりました。以後代々の主人がその名前を継承しています。銀座本店には香道家など顧客の応接や「聞香(もんこう)」などのワークショップを行うサロンが設けられ、御簾(みす)越しに眺める棚には貴重な香木(こうぼく)を収めた容器が並びます。伝統と風格を感じるのもこちらを訪れる楽しみです。

入口に掲げられた「御香所」「創業天正年間」の表記が歴史を伝える。

バー スタイルのサロンでは単発で参加できるワークショップを開催。

江戸時代の調香から和花の香りの新作まで。さまざまなお香が揃う

日本のお香は、白檀(びゃくだん)、沈香(じんこう)、伽羅(きゃら)の香木を中心に、樹皮や果実、つぼみ、葉、茎など天然の香料を調合したもの。平安貴族の間では香料を練り合わせた「薫物(たきもの)」という練り香が盛んになり、部屋に香りをたき込める様子は「源氏物語」などにも描かれています。現代ではスティック状のお香を用い、香煙をくゆらせて室内に香りを広げるのが一般的。香十(KOJU)には、八代十右衛門(じゅえもん)による調合覚書に沿った銘品から新作までが揃います。
その中で、『香十いろは(KOJU IROHA)』は、「香りの情景をイメージできるので、はじめてお香を使う方におすすめのシリーズです」と店長の馬越正子(うまこし せいこ)さんから。白檀や沈香のほか、金木犀や水仙、藤といった和花の香りを揃え、「あの曲がり角の金木犀」などのネーミングが記憶の中の香りと響き合います。

日常を彩る香りから仏事の香りまでさまざまな香りの製品が揃う。 

江戸時代の銘香を最新技術で再現。八代十右衛門(じゅえもん)の名を冠した逸品。

スティック状のお香『香十いろは(KOJU IROHA)』。容器に入ったお香を持ちあげて香りを確認できる。

香十(KOJU)銀座本店店長の馬越正子(うまこし せいこ)さん。「リモートワークをきっかけにお部屋の香りを選ばれる男性のお客様が増えています」。

匂い袋からオードトワレまで。より身近に和の香りを楽しみ、印象を残すアイテム

平安の貴族は衣服に香りたきしめ、通りすがりに良い香りを漂わせる風習がありました。その「薫衣香(くのえこう)」は、現代では常温で香る原料を袋に入れ、衣類専用の香り製品に。衣替えのタイミングで使いたいアイテムです。同様に身に着ける香りが「匂い袋」。着物の袖に入れるほか、衣類の間にはさんだり、バッグにしのばせたり、現代のライフスタイルに合わせて使えます。和漢薬やハーブなどでつくる6種の香りから選べ、好みの布の巾着とひもをカスタマイズできる「珠衣(TAMAI)」シリーズを揃えています。

また、名刺入れの中で香りを移す「名私香(めいしこう)」は、渡した名刺がほのかに香り、さりげなく美意識を伝えたり、印象を深めたり。コミュニケーションに役立てることができます。求めやすい価格でサシェの感覚で使える「珠衣(TAMAI)」とともに外国人観光客に特に人気が高いそう。高級感あるたたずまいがひときわ目をひくのがオリジナルのオードトワレ「JUEMONジュエモン」。上質の香原料を使い、「和装の衣擦れ」や、「威厳と落ち着き」など、和装や着物をテーマにした香りがラインナップされています。

匂い袋「珠衣(TAMAI)」。色柄が豊富な巾着袋と組み合わせてお気に入りをカスタマイズ。

「名私香」(めいしこう)各440円。中身を取り出し、布ケース(別売り、440円~)に入れて使う。

お客様を迎えるお店の香りや、アイテムの見本で確かめられる香りは、周囲を巻き込むのではなく、どこか風が通るような自然な香り方です。「和の香りは、強く漂ってくるのではなくこちらから探しに行くような世界観。主張はせずになじむのが特徴です。さまざまなアイテムでその世界を感じていただけます」(馬越さん)。
心地よさを感じながらいつしか香りの声に耳を傾ける。別の香りの声も聞きたくなる。日本の香文化である「聞香」の世界へと続いていくのでしょう。香木を焚き、香りを鑑賞する「聞香」は、店内のサロンで定期的に開催されるワークショップで体験することができます。詳細は専用HP 「座 香十楽(KOJURAKU)」で確認できます。

レポーターMotoko おすすめ5選

香十いろは(KOJU IROHA)

フルーティフローラルの香りで表現した「朝日に輝く薔薇のアーチ」など12種類の香り。各30本入り香立て付き。990円。お洒落なパッケージはギフトにもぴったり。

匂い袋 珠衣(TAMAI)

白檀などに丁子 (クローブ)、桂皮(シナモン)などなじみの深いハーブを配合した香りが揃う。各880円。巾着は西陣織などの生地から選べる(別売り550円~)。

室礼香(しつらいこう)

削ると香りが漂う室礼香(しつらいこう)は、玄関に置いて来客時のおもてなしなどに。ふたつきの美しい陶器は置物としても楽しめる。白檀など全4種各5500円。

JUEMON

華やかな沈丁花のモチーフや、重厚なウッディとスパイスを調和させた香りなどフォーマルな装いに使いたいオードトワレ。全6種類1万6500円~1万9800円。

薫衣香(くのえこう)

十二単(じゅうにひとえ)を思わせる趣きのある包装にそれぞれ7個をパック。特製(右)1650円、フローラルの優雅な香りを加えた極上(左)2750円。

香十銀座本店

住所

東京都中央区銀座4-9-1 B1MAP

電話

03-6264-2450

休業

不定休

時間

11:00〜19:00

交通

東京メトロ銀座駅から徒歩5分

HP

https://www.koju.co.jp/

このみやげのレポーター

Motoko

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「日本のお香」とは?

日本では、お香は、6世紀末に淡路島に香木が流れ着いたことが起源とされ、古代から貴族社会、武家社会へと時代の変遷とともに発展。江戸時代に「香道(Incense ceremony)」が成立すると町民文化に広く浸透し、現代に至るまで芸道として日常の楽しみとして幅広く愛好されています。

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お香@香十銀座本店

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