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皇居三の丸尚蔵館で「瑞祥のかたち」が開催中。財宝をつんだ宝船に乗って、めでたい瑞祥の造形美の数々を見る旅へ。新しい年にたくさんの福をいただけそうな、めでた尽くしの展覧会へ行こう!

2025.1.14

皇居三の丸尚蔵館で、2025年1月4日(土)から3月2日(日)まで、展覧会「瑞祥のかたち」が開催されています。新しい年の到来を喜び、人生の節目に幸福を願う気持ちは、古くからさまざまな造形にたくされてきました。造形のモチーフは、吉祥のイメージとして日本文化に深く根を下ろす「松、鶴、亀」、古代中国において不老不死の仙人が住むと考えられた「蓬莱山」、天子が世に現れる兆しとして古代中国で尊ばれた伝説の鳥「鳳凰」、泰平の願いをこめて表現されてきた空想上の霊獣「麒麟」や「唐獅子」などなど。本展には、皇室伝来の書跡・絵画・工芸品の中から、これらの「おめでたい」モチーフの数々が集結し、伊藤若冲から横山大観まで、日本美術の名品が、新年の美術館を華やかに彩ります。

皇居大手門をくぐって皇居三の丸尚蔵館へ

皇居三の丸尚蔵館は、皇居東御苑の中にある美術館です。皇室に代々受け継がれた美術工芸品の保存、研究、公開のため、1993 年に宮内庁三の丸尚蔵館として開館。開館30周年を迎えた2023年には、新たな棟の一部完成とともに皇居三の丸尚蔵館と名前を変え、管理・運営も宮内庁から独立行政法人国立文化財機構に移管されました。現在、隣に別棟の建設工事が進んでおり、2026年秋には全面開館予定です。
入館者は、入口の大手門で手荷物検査を受け、門をくぐって2分ほど歩くと到着します。美術館を見学した後に、皇居東御苑の中をお散歩するのもおすすめです。

皇居三の丸尚蔵館。2026年には右隣に建設中の新棟が加わる。

展示室の入口。館内には二つの展示室がある。

宝船に乗って瑞祥の造形を愛でる旅へ出かけよう

会場を入ってすぐのところに、べっ甲細工の宝船が展示されています。今回の展覧会は、この金銀財宝を積んだめでたい宝船に乗って、様々なめでたい造形美「瑞祥のかたち」と出会う旅をするという趣向です。旅の途中では、鳳凰、麒麟、唐獅子など、次々にめでたい名品と出会っていきます。さあ、宝船の旅立ちです。

宝船「長崎丸」 江崎栄造 大正5年(1916)/長崎県から大正天皇に献上された。長崎県の重要な物産が積載されている。

まずは、亀に乗った幻の宝島「蓬莱山」へ

船出して最初に目指すのは、海中にあるといわれている蓬莱山です。古代中国では、不老不死の仙人が住むと考えられていました。日本では、蓬莱山といえば亀が背に載せた図が一般的です。

蓬莱図部分 狩野常信 江戸時代(17~18世紀) 前期展示/巨大な亀の上に白い州浜が乗り、さらにその上に蓬莱山がそびえる。下に2匹の子亀が泳ぐ。

小栗判官絵巻 巻八上部分 岩佐又兵衛 江戸時代(17世紀)/全26巻の恋愛物語絵巻。座敷の広縁に蓬莱山を背負う大亀の作り物が置かれている。

松上鶴、鶴亀、鳳凰、麒麟、唐獅子....、次々に現れるめでたい生き物のアート

宝船は、蓬莱山を後にして、様々なモチーフのめでたい作品群の中を進んでいきます。鶴が松の樹上に棲み、松上に巣を作って子育てする「松上鶴」。これは実際には起こり得ない情景ですが、日本に深く根付いた吉祥のイメージです。「寿老人」は南極星の化身で長寿を授ける神と考えられています。「鶴と亀」は、日本では「鶴は千年、亀は万年」のことわざもあるように長寿を示す動物として親しまれてきました。

旭松岩上鶴図 川端玉章 明治時代(19世紀) 前期展示/右幅には二本の松と昇る朝日、左幅には三羽の鶴。右幅と左幅が対象的な視点で描かれている。

寿老人松鶴竹亀之図 野口幽谷 明治23(1889)年頃 前期展示/中央に寿老人、右幅には松と鶴、左幅には亀と竹を配した長寿を願う吉祥画。

寿老人置物 宝民 明治35(1902)年頃 前期展示/鹿を伴うことが多い寿老人だが、本作では鶴が寄り添い、杖の先には人間の寿命を記した巻物が結びつけられている。

岩上鶴亀 加藤龍雄 大正13(1924)年頃/皇太子裕仁親王(のちの昭和天皇)の結婚を奉祝して贈られた作品。

宝船は、1つ目の展示室から2つ目の展示室にやってきました。 ここでは、吉兆をもたらす想像上の生き物たちの造形と出会います。最初に出会うのは「唐獅子」です。中国から伝来した獅子の意匠で、神仏を守護する聖獣として日本に広く根付いています。次に出会うのは、瑞鳥「鳳凰」です。江戸時代の絵師、伊藤若冲(1716-1800)が描いた鳳凰は、前期と後期で違う作品が展示されるので両方見るには2度足を運びましょう。最後に出会う「麒麟」は、様々な動物の要素を組み合わせた奇異な姿で、慶兆のシンボルとされています。

陶彫唐獅子 沼田一雅 昭和3(1928)年/伝統的な和風の唐獅子とは異なる西洋風の唐獅子。ライオンをモデルにした西アジアの古代彫刻を思わせる。

旭日鳳凰図部分 伊藤若冲 江戸時代、宝暦5(1755)年 前期展示/極彩色の雌雄の鳳凰を描かれている。王者の風格をそなえた豪華絢爛な作品。

鳳凰之図 結城素明 大正14(1925)年 前期展示/鮮やかな色と斬新な感覚で描かれた鳳凰。観る人を一瞬で惹きつける作品。

麒麟香炉 江戸時代(19世紀)/かつて日光にあった山内御用邸に伝わった香炉。架空の生き物、麒麟の姿がリアルに表現されている。

さまざまなめでたい造形を愛でながら進んできた宝船が、旅の最後に行きつくのは富士山を描いた横山大観の大作です。最初に見た蓬莱山は、富士山の異称ともいわれています。朝日に輝く霊峰・富士の堂々とした姿に、新しい年の平和と繁栄を願わずにはいられません。

日出処日本 横山大観 昭和15(1940)年/大観の数多い富士山の絵の中でも最大級の大きさを誇る作品。展覧会への出品後、昭和天皇へ献上された。

瑞祥のかたちを巡る旅を終えると、体にハッピーなエネルギーが充電されて清々しい気分になりました。新年のスタートに、たくさんの幸せオーラをいただけた素敵な展覧会でした。

2つ目の展示室。奥に大観の富士山の絵が見える。

展覧会「瑞祥のかたち」

会期

2025年1月4日(土)~3月2日(日)
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
[前期 1月4日(土)~2月2日(日) / 後期 2月4日(火)~3月2日(日)]

場所

皇居東御苑内    
(東京都千代田区千代田1-8)MAP

開館時間

9:30~17:00
※金・土曜日は20:00閉館(1月31日(金)および2月28日(金)除く)
※入館はいずれも閉館30分前まで

夜間開館

会期中の金曜・土曜は、9:30~20:00まで開館します(最終入館は19:30)
※ただし1月31日(金曜)と2月28日(金曜)は除く

休館日

月曜日(1月13日(月・祝)、2月24日(月・振)は開館)、11月14日(火)、2月23日(日・祝)・25日(火)

料金

一般 1,000円、大学生 500円
※高校生以下・満18歳未満、満70歳以上は無料(入館時に年齢のわかるものを要提示)
※障がい者手帳の所持者および介護者各1名は無料

お問合せ

 050-5541-8600(ハローダイヤル)

交通

地下鉄各線の大手町駅(C13a出口)から徒歩約5分
JR東京駅(丸の内北口)から徒歩約15分

HP

https://shozokan.nich.go.jp/

特別鑑賞会

1月31日(金曜)と2月28日(金曜)に、閉館後、館の研究員による解説付き特別鑑賞会を開催します。開催時間:18:00~19:00 定員:20名 参加費:5000円
申込はチケット販売サイトから事前に予約。
https://e-tix.jp/shozokan/

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