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日本のおみやげを訪ねて

Part10

うちわ@松根屋

2024.6.24

浅草橋の専門店で、日本の風情を演出するうちわを探す

うちわは手にもってあおぎ、涼をとる道具。同様に用いる扇子が折りたたんで携帯するのに対し、丸や四角の平らなうちわは室内やお祭りなどで用いられ、日本の風情を演出します。竹で作る骨組みや表張りには職人の技術がこめられ、実用だけではなく工芸品としての魅力をあわせもつアイテムです。今回は、創業110年のうちわと扇子の専門店「松根屋(まつねや)」を訪ね、おすすめのうちわを紹介します。

歴史ある問屋街エリア。浅草へと続く江戸通りに面したビル1階

都営浅草線浅草橋駅A4出口を上に出て、柳橋2丁目交差点すぐのビル1階が松根屋。蔵前、浅草へと続く江戸通りに面し、JR総武線浅草橋駅東口からも徒歩約4分と至近です。浅草橋はアクセサリー素材や小物などの店舗が集まる歴史ある問屋街。現在は小売りするお店も多く、うちわを探しがてら立ち寄ってみるのもいいでしょう。江戸通りを反対方向へ、神田川と隅田川が出会うたもとにかかるのが柳橋。船宿やかつては料亭が多く立ち並び、江戸情緒が残るエリアです。

浅草橋駅を出てメインストリートの江戸通りへ。

木枠のどっしりとした引き戸が印象的な店舗。

老舗問屋の伝統を受け継ぎながら職人が手作りしたうちわをセレクト販売

松根屋は大正3年(1914年)に入谷で扇子とうちわの問屋として創業し、10年後に浅草橋の現在の場所に移転。現在は、四代目店主の山本慶大(やまもとけいた)さんが老舗の歴史を受け継ぎながら伝統工芸品としてのうちわの魅力を発信しています。暮らしのさまざまなシーンで使われてきたうちわですが、高度経済成長期に扇風機やエアコンが普及すると産業の規模が縮小。企業の販促用などプラスチック製が大量に出回り、竹製のうちわは低コストの中国製が増えていったそう。その中で、松根屋では量産品ではなく、国内の産地で作られる商品にこだわってセレクト。「うちわの伝統を守るのは専門店の使命。職人がひとつひとつ手作りした質が高く、無理なくお買い上げいただける商品を中心に取り揃えています」(山本さん)と語ります。

10年前にリニューアルした和シックな店舗。店内に入ると扇子、その奥がうちわのコーナー。

四代目店主の山本慶大(けいた)さん。「日本が誇るうちわの文化を守りたい」と自らもうちわ張りに取り組み、不定期で体験教室も実施する。

江戸のうちわ作りを継承する「房州うちわ」をはじめさまざまなうちわが揃う

日本各地で作られるうちわの中でも、主な産地が千葉県の「房州(ぼうしゅう)うちわ」、京都府の「京うちわ」、香川県の「丸亀(まるがめ)うちわ」。いずれも国の伝統的工芸品に指定されています。松根屋ではそれぞれを取り揃えていますが、種類が最も豊富なのが江戸・日本橋にルーツを持つ「房州うちわ」。うちわの材料となる竹を江戸に運ぶ産地だった房州(現在の館山市や南房総市)は、明治維新や関東大震災を機に作り手が移住し、うちわの生産地に。柔軟性に富み、うちわの骨に適した女竹(めだけ)を使い、他の産地と比べて工程数が多いのが特徴です。朝鮮うちわをルーツに、南北朝時代にさかのぼる歴史を持つのが「京うちわ」、金比羅(こんぴら)参りの土産物として広まった「丸亀うちわ」。それぞれの歴史背景が個性あるうちわを生み出し、今に伝わります。

壁面を飾るさまざまなうちわ。力士など日本の風物の絵柄も目を引く。

グリーティンググッズの「豆うちわ」400円~は外国人旅行者がまとめ買いすることが多いそう。

うちわの使い勝手に大きく関わるのが持ち手。「房州うちわ」は柄が丸い「丸柄(まるえ)」。「京うちわ」は柄をさしこんで仕上げる「挿柄(さしえ)」。そして、「丸亀うちわ」は平らな「平柄(ひらえ)」が特徴だそう。丸柄は祭の踊りでくるくる回したり、浴衣の帯に差し込んだり、いなせな使い方ができます。柄と中骨とが別々で、50~100本もの骨からなる「京うちわ」は観賞用に作られることも。それぞれの違いを目安にお好みのうちわを見つけましょう。

レポーターMotoko‘s うちわ5選

房州うちわ 中万月(ちゅうまんげつ)

房州うちわは竹の丸みを生かした持ち手と、細く割いた竹を格子状に編んだ扇の骨格が特徴。こちらは表面に浴衣の生地を張った1点もの。4300円。

房州うちわ 大万月(だいまんげつ)

半円で格子模様が美しい「窓」も房州うちわの特徴。やや大きめサイズの浴衣張りながら職人の意向で価格は3400円とおさえ目。作り手のこだわりを知ることができるのも専門店の魅力。

房州うちわ 大和型

やや横長の形が涼をとりやすい「大和型」。表面には千代紙を貼り、花や鳥など自然をモチーフにした和紙の風合いが楽しめる。5600円。

丸亀うちわ 渋うちわ

丸亀うちわは柿渋を塗った和紙を使い、耐水性や耐久性に優れるのが特徴で独特の風合いも魅力。絵柄は縁起のいい「打ち出の小づち」が定番。1500円。

京うちわ 八立 金彩 (はちだて きんさい)

金箔を貼り、柄は栂(つが)の漆塗り。最高級の京うちわは4万円。京都の挿柄で安価なものは中国製の竹骨を使用、国指定の伝統的工芸品は4000円~が目安。

松根屋

住所

東京都台東区浅草橋2-1-10

電話

03-3863-1301

休業

日曜・祝祭日

時間

平日9:00〜17:30、土曜9:00〜13:00

交通

都営浅草線浅草橋駅から徒歩1分、JR総武線浅草橋駅東口から徒歩4分

HP

https://matsuneya.jp/

このみやげのレポーター

Motoko

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「うちわ」って何?

うちわは古代、木や植物、鳥の羽などで作られ、儀式や信仰などの場で用いられてきました。室町時代末頃に竹骨と和紙の形になり、江戸時代になると庶民の間で普及。涼をとるほか炊事や装いなど日本人の暮らしに寄り添い、日常の場で幅広く愛用されています。

写真

M.Suematsu

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うちわ@松根屋

都営浅草線浅草橋駅から徒歩1分、JR総武線浅草橋駅東口から徒歩4分

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